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おブスとおバカと時々おネエ

元美容師のビジネスおネェ Kommy-コミー- がホッピーまみれでくだを巻きながら、大和撫子を創りだす。

厨二病ももたろう M著

むかし、むかし_____

 

そう、大地が遙かなる悠久の時の、深き混沌の中に包まれて居た頃。

人は誰しもが自然の秩序と、神々の大いなる力をその身に纏って生きていた。

 

山の神々を仰ぎ、川の神々と共に生きた。

 

その記憶は、僕たちの遺伝子の中に深く刻まれ、

 

輪廻を巡る。

 

 

そして現代にも一滴の記憶として無意識の中にその爪あとを残している。

思い出すことはもはや不可能であり、まるで非現実的。

しかし、確かに僕たちは覚えている。

己の中に生じる、その矛盾を受け入れたとき、

 

今、新しい物語が紡がれる。

 

 

 

今から僕達が紡ぐのはそんな眩暈がするほどに遠い

 

昔、昔の物語。

 

 

 

 

とある吟遊詩人は歌う。

 

ー遠き場所より流れ来る。幻の果実が一つ、音に合わせて流れ来るー

 

ーその音色は確かに届く。どんぶらこっこ、どんぶらこっこー

 

ー信じる者の、その耳にとどく。確かに届く。どんぶらこっこー

 

 

 

 

とある吟遊詩人の歌は、

 

ある時は創作であり、ある時は真実。

 

そう、その眼で確かめ、その手で触れた者しか

知りえない真実を歌う。

 

信じない者は笑えばいい。

信じない者は蔑めばいい。

信じない者は・・・

 

 

 

 

 

 

 

あるところに、一人の老齢の紳士が居た。

この世界にただ一人の女性を愛し、そしてともに年を重ねた。

あるところに、一人の老齢の淑女が居た。

この世界にただ一人の人を信じ、そしてともに老いていった。

 

二人は生涯を誓い合った、夫婦(めおと)だった。

 

 

 

二人の間には前世から約束された固い絆があり、
その両の小指には確かに、来世へと続く運命赤いが結ばれていた。


病める時でさえ、健やかなる時でさえ、
その愛の形は変わらなかった。

 

、変わり続けて、そして揺らぐことのない

確かな絆になったのだ。

 

日々の豊かとは言いがたい暮らしですらも

二人はその愛の力を持って

豊かな気持ちで過ごす術を持っていた。

 

老紳士はいつ何時も、まるで青年のように

老淑女はいつ如何なる時も、まるで少女のように

 

_____笑っていた。

 

 

 

 

その日も、変わらない、

そして変わり行く日常のはずだった。

そう、なんの変哲もなく一本のレールのように真っ直ぐに続く

永久に ”幸せな毎日” のはずだった。

 

 

二人の間に交わされる笑顔の中には

まさかこの先に続くレールに、いつもとはまったく違う

”新たな出会い” との可能性は、

何処を探しても見出すことは出来なかった。

 

まさか、こんな事がおこるなんて

誰に予想が出来たのであろう。

吟遊詩人を除いて、誰に・・・。

 

 

 

淑女は紳士をいつものように見送った。

山の深きに眠る神聖なる木々から、生活に必要な糧を得る為に

自らを犠牲にして進んでいくに行く、その勇ましい後姿を。

 

別れの時は、いつだって胸が締め付けられるものだ。

例え其れが、たった一時の別れであろうとも、

 

愛しき人の無事を願わずにはいられない。

 

 


「どうか、ご無事で・・・。」

 

消え入るほどの小さな声は、紳士の耳には届かない。
それでもきっと、届いている。
この心から湧き上がる想いが。
消えることの無い愛の炎の煌きが。

 

紳士の背が見えなくなるまで淑女はその姿を見送った。
しばしの-長すぎる一時の-別れ。

 

そして淑女は遥かなる流れを湛える川原へと向かう。
気高き山頂から続く悠々たる清水の流れは、
遠い太古から時代を超えて流れている。

 

その麗しき命の恵みである水によって、
纏う衣を、神聖に清める儀式を執り行うのだ。


恙無く、儀式を執り行っていると
川上からどこからとも無く聞こえてくる

 


__歌が一つ。

 

 

 

「この歌は・・・」

 

古くから伝わる歌。

遠い異国の吟遊詩人が歌ったとされる、この地に根付く伝承の歌。

その時とは、何時なのか、今なのか、遥遠い時なのか、

もう知る者は

 

_____いない。

 

 

 

 

歌の音色に眼をやると、淑女は我が目を疑った。

 

「まさか・・・!」

 

いや、そんなはずはない。

この歌はただの伝承であり虚偽のはず。

我が目に映る物は、きっと何かの間違いのはず。

 

起こり得るはずのない事柄を前にすると、

人は一様に己の精神を疑うように出来ているようだ。

己を疑い、現実を否定する。

そして安寧とした馴染み深い日常を夢に見る。

一瞬の白昼夢。

 

 

 

しかし、それも仕様のないことでもある。

 

 

流れてくるはずのない、眩いほどに光り輝く幻の果実が

 

 

眼前を流れてきたのだから。

 

 

 

咄嗟に、淑女はその幻の果実に手を伸ばした。

するりと 音を立てて、その果実が手の中に納まったような気がした。

しかしその淡く儚い幻想は

すぐに無常な現実によって覆される。

 

幻の果実の大きさは相当なもので、

淑女一人で川原から引き上げるのは、至難の業だったのだ。

伸ばした手を、離さぬように。

掴んだ手を、離さぬように。

 

老女は己の腕(かいな)に力を込める。

 

その力の源ともいえる物は、

紳士とこの奇跡とも言える体験を共有したい一身だった。

 

彼に、この幻の果実を食べさせてあげたい。

この果実は、甘美なる思考の味である。

そう、淑女には確信があった。

 

何故かは知らない。

言葉でも言い表すことができない。

しかし確かに理解(わか)っている。

 

根拠がないのではなく、それは最早

 

 

___宿命だった。

 

 

 

 

 

 

時を司る円卓の剣が、再び同じ宵を刻むまで・・・

(明日につづくよ!!)

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